自分的OLDCODEX卒業式の話


 2018年2月25日、hangover大阪公演をもってOLDCODEXのファンを卒業しました。この表現はあまりに概念的(というかライブ冒頭でTa_2が使った表現を借りただけ)なので正確に言い直すと、ファンを名乗るのを辞めました。嫌いになったとかそんなんじゃなく、単にもう自分は彼らのファンだと思わないと決めた、ということです。
 こう書くと、ライブが良くなかったから降りるように聞こえると思いますが、そうではなくて。あまりに良いライブだったので、もうここで終わりにしたいのです。
 本当に素敵なライブでした。ヴォーカルの歌唱力が確かでないとライブが成り立たない程の、“聴かせる”ことに重きを置いた構成。楽曲を視覚的に表現しながらも、最終的にライブ全体に連続性をもたらすYORKE.のペイント。多彩かつ安定感のあるサポートメンバーの演奏…。私の大好きなOLDCODEXがそこにありました。数時間のライブで本当にいろんなことを考えて、思い出したので、自分で整理するために文章にしておこうと思います。

 私がOLDCODEXを知ったのは中学生のとき。深夜アニメを見始めてアニソンにハマる、クラスに5人ぐらいいるタイプのオタクでした。カタルリズムで彼らを知ってmono frontierを聴いて、即どハマり。ボーカルの声が好きで(当時鈴木達央を認識していなかった)、彼の高い歌唱力に惚れ込んで、元から絵が好きなのでYORKE.のペイントにもハマり、もうとにかく夢中でした。
 そして高校生になってからライブに行き始めたりCDを買い集めたり、本格的にファン活動を始めました。始発で物販に向かったり、MMに入って複数公演取ったり、本当に楽しかった。中でも一番の思い出は、初めての武道館公演、Captureです。1階の2列目という奇跡のような座席番号がプリントされたチケットを握りしめて夜行バスでひとり東京に行ったあの日、kick outでジャンプしているときのゾクゾクするような高揚感は未だに忘れられません。
 そして、それを最後に、受験モードに入るためにOCDのライブに行くのをぱったりやめました。ライブに行きたくなるので、OCDの曲を聴くことすら自分で禁じて。つまり、私にとってのOLDCODEXはいい思い出しかない状態、言うなれば過度に理想化されたまま一年以上放置されました。いま思えば、これが良くなかった。

 Dried Upで一旦離れ、次に戻ってきたときはDeal with。単刀直入に言います。もう、私の好きなOLDCODEXは無くなっていました。というよりも、OLDCODEXの好きなものが、私の好きなものではなくなっていたんです。これって、ずっと応援してた人からしたら何言ってるか分からないかもしれないのですが、DriedからDeal withって、私には同じバンドの曲だとは思えないくらい違う曲でした。
 MVの雰囲気という視覚的な話で言えば、DriedやEyes in chaseのような、白黒の世界に色が混ざっていく世界から、急に極彩色が点滅する世界に変わっていて。徐々に体を慣らせば受け入れられたかもしれませんが、私には難しかった。この衝撃は私には相当大きくて、この曲のMVが公開された日から先日のhangover大阪まで、私はDriedより前の曲が聴けなくなりました。思い出が壊されるような気がして。いくらなんでも重すぎるオタクですよね、遠慮なくドン引いてください。

 まぁ、随分と長々書いていますが、結局は、彼らは時間の経過と共に、好きなものが変わった。私は時間が経っても、好きなものが変わらなかった。それだけの話です。

 正直、心が離れていったキッカケは上記の音楽性や表現方法だけじゃありませんでした。大事なライブ直前での骨折。その骨折の治療をかなり無理に行ったことを誇らしげに(個人の見解です)明かすコラム。アニメタイアップにDeal withのような楽曲を出すその決断。更には匂わせブログ、ツーショ流出直後のTwitterでの答え合わせ。まぁ、色々ありました。因みに、私はツーショに関しては撮ったやつが悪いし普通に犯罪だと思うのですが、(彼がめちゃくちゃ嫌うであろう言い方だと承知で言えば)ファン商売の人があんな露骨な匂わせをするのは最ッ低だと思っているので、あれも離れる理由としては十分でした。
 こんな気持ちで行ったFIXED ENGINEツアーは、決して楽しいものじゃありませんでした。私の好きな歌い方じゃなかった。私の好きな色づかいじゃなかった。単に好みの問題ですけど、オタクが推しを選ぶ基準って自分好みの要素の有無以外特にないですからね。
 こんなに色々と嫌いなところを列挙できるのに離れなかったのは、もう本当にTa_2の声が好きだから、この一つだけです。何度聴いてもびっくりするぐらい歌が上手くて、とにかく声質が、声帯が死ぬほど好きで!!!

 少し話題を変えますが、ここまで読んでいただけたら分かるように、私はOLDCODEX(ここでは所謂チームでなくTa_2とYORKE.を指します)が変わってしまったという前提で話を進めています。私はずっと、彼ら自身も、自分の趣向が変化していることに気づいていると思っていたんです。でも、2017年6月のdeep blueで菅谷さんの脱退を知ると共に、彼らは自分たちが変わったのではなく、周囲が変わってしまったと思っていることが分かりました。
 これが、一番決定的に、もうダメなんだと思った出来事でした。ここまでグサッときたのは、先述のように、武道館のきっかうがあまりに尊い思い出として自分の中に残っているからというのもあるのですが。どうしても疑問が浮かんで消えませんでした。バンド発足時のメンバーが本当に一人もいなくなったのに、なんで自分は変わっていないと思えるんだろう。なんで変わってしまったのは菅谷さんの側だと信じて疑わないんだろう。彼が望んだ結果じゃないことなんてよく分かっています。ただただ、意味が分からなかった。
 そして、もう私の好きだったOCDに戻ることはないと宣言された気がしました。だって彼らに変化の自覚がないんだから。

気に入らなかったら手に取らなくていい

 とのことなので、they go, Where?は買いませんでした。菅谷さんが助けてくれることがないOCDに、私の好きなものが入っているわけがない。
 they go, Where?ツアーは、今回こそ最後になるかもしれない、今回こそ本当に嫌いになってしまうかもしれないと思いながら行きました。勿論、私の好きなOCDはそこにいなかった。でも、やっぱり、ヴォーカルの人の声が好きだと、それだけが私をあの場所に惹きつけ続けました。嫌いなところがたっくさんあるのに、悔しいぐらい、ただ声が好きで!!!

 だから、今回のhangoverはアコースティックだと聞いて、絶対に行こうと思いました。声が堪能できそうなので。そして話は冒頭に戻ります。


 本当に素敵なライブでした。とにかく歌が上手い。声帯が良い。襟付きの服嫌いみたいだけど、めちゃくちゃ似合う。育ちの良さがバレてる。ズボンの膝が破れてない。問いかけるような口調の優しいMC。普通に喋れるんやんか。
 FLOWERが聴けてよかった、smokeのことみんな忘れてなくてよかった、OLDCODEXのステージに立つ彼の口から『鈴木達央』の名が出る瞬間を見届けられてよかった、towayukiという究極にシンプルなラブソングをあのサポートメンバーの演奏と共に聴けるなんて思ってもみなかった、もう全てが良かった。私の好きなOLDCODEXが見られて良かった。
 そして終演後、2年ぶりくらいにCSあたりの曲を聴いてみたら、普通に聴くことができました。ずっと、つらくてサビ前で諦めてたのに。地縛霊状態だった自分がちゃんと成仏できた感覚がありました。

 公演が始まってすぐ、『私の好きだった姿は消えたんじゃなく、見えなくなっただけだったんだ』と気づいて、これからもファンを続けていけると思いました。でも、公演が進むにつれ、『この最高の思い出を絶対に崩したくない』という気持ちが強くなりました。
 だから私はここでやめます。これから更新されるOLDCODEXは私が望んでいるかたちじゃないのは分かっているし、何より、大切な思い出が自分を苦しめる原因になるのはもう嫌です。そして、もうファンじゃないなら、お金を払わないなら、彼らの言動に怒ったり悲しんだりする理由も権利も無い。自分が楽になるためだけの卒業です。

 途中から、「きっと今日で最後だ」と思って聴いていたので、本編ラストの曲、Stargazerの最後のフレーズが、やけにくっきりと聞こえました。

単純な言葉で傷付いた君がいた事を

 あなたの発した言葉で、行動で、勝手に傷ついたり勝手にブチギレたりたくさんしてきたけど、中高生というライトな意味での青春をOLDCODEXと過ごせて楽しかった。いい経験をたくさんさせてくれてありがとう。

 どうか、もう誰も骨を折らないで。胃の中で寄生虫飼わないで。あんまりお酒に飲まれすぎないで。ひとりで勝手に謝らないで。ただ健やかでいてくれますように。そして、これからもあなたが、あなたの素敵な仲間たちと、あなたの好きなものを創っていけますように。あなたの納得のいく答えが見つかることを祈っています。